公益社団法人日本超音波医学会|The Japan Society of Ultrasonics in Medicine

よくあるご質問

Q. 体表領域の疾患内容内訳で、その他として側頸のう胞を1症例として出した場合、甲状腺のう胞は出せるでしょうか?
A. 「側頸囊胞」は「その他」で、「甲状腺囊胞(正確には腺腫様結節)」は「甲状腺」で提出してください。 ただし、同一症例(患者)の中に両疾患が併存している場合は、1人の患者につき1つの疾患のみでしか提出できません。
Q. 乳腺で見つけた脂肪腫は、その他として良いでしょうか?
A. 「脂肪腫」は乳腺疾患ではなく「皮下・皮下組織」の疾患です。よって、皮下腫瘤=脂肪腫として提出して頂くことになり乳腺疾患としては提出できません。
Q. 超音波診断が硬癌、最終診断も硬癌を3例、超音波診断が乳頭腺管癌、 最終診断も乳頭腺管癌を2例、甲状腺濾胞腺腫を2例など、おなじ疾患名のものを複数提出することはできるのでしょうか?
A. 可能です。
Q. 次の場合(甲状腺)は、それぞれ1症例として認められますか? ① 甲状腺癌術後 ②両葉にある甲状腺癌を右葉で1例、左葉で1例(別々に)③甲状腺腫瘍(悪性疑い)で細胞診の結果、group1または2(悪性所見なし)となった症例 ④甲状腺嚢胞
A. ①につきましては、再発して腫瘍があれば1症例としても構いませんが、異常のないものに関しましては残念ながら認められません。
②もし甲状腺癌が両葉にある場合は、1症例(同時多発あるいは腺内転移)としてしか扱えません。よって右葉の癌で1症例、左葉の癌で1症例としての提出はできません。
③細胞診の結果(USでは癌を疑っていたが)「悪性所見なし」は(例えば)腺腫様甲状腺腫と考え、定期的にフォローしている・・・とすべきかと思います。よってそのように疾患を考えたのであれば、「腺腫様甲状腺腫」として提出してください。
④甲状腺には基本的には単純嚢胞はありませんので、腺腫様甲状腺腫(腺腫様の変化=嚢胞変性)として扱う必要があります。ただし、甲状腺に腫大なく単に嚢胞が1、2個しか観察されない場合、正常範囲内として扱うべきでありこのような症例の提出はお控えください。
Q. 異物や整形領域は含まれるのでしょうか?
A. 異物に関しましては、皮膚~皮下組織内にあるものは、鑑別疾患も含めて考察して頂ければ特に問題ありません。整形外科領域に関しましては、例えば「ガングリオン」などであれば、体表領域の疾患と鑑別する必要がありますので症例として提出しても構いません。ただし、関節の病変や骨・軟骨病変に関しましては本領域の症例としては扱えません。
Q. 甲状腺疾患では、甲状腺の腫大がない場合でも、全て計測したサイズが必要でしょうか?要項の記入例では、峡部の厚さのみでびまん性腫大なし、と記入されています。また、サイズを記入する際、本によって表記が違うのですが、「横径、長径、短径」か、または「横径、縦径、厚み」か規定がありますでしょうか?
A. 甲状腺計測に関して、両葉の横断面において①横径、②厚み、両葉の縦断面において③長径、峡部の横断面における④厚み、などが一般的に行われている計測法であり、正常と思われる場合でもこれらの計測値を記載してください。なお、上記部位の記載順序に決まりはありませんが、どこを計測したのかがわかるように記載してください。
Q. 副甲状腺(上皮小体)・リンパ節疾患(A-3)2例以上とありますが、リンパ節疾患のみで2例以上の提出でも可能なのでしょうか?(副甲状腺疾患がなくても可能かどうか。)
A. 「副甲状腺」の症例2例でも、「リンパ節疾患」2症例だけでも構いません。
Q. リンパ節(A-3)の具体的疾患例に頸部壊死性リンパ節炎、結核性頸部リンパ節炎、悪性リンパ腫、リンパ節転移とありますが、ウィルス感染症による頸部リンパ節腫大(反応性リンパ節炎、炎症性リンパ節腫大)は含まれないのでしょうか?
A. 反応性リンパ節炎などでは、リンパ節が軽度腫大するだけのこともあり、US画像だけからは(正常範囲の)単に大きいだけのリンパ節なのか、炎症によって腫大したのかを区別することが困難です。 反応性リンパ節炎、炎症性リンパ節腫大などは、US所見だけで診断するというよりも、臨床経過・症状を含めた臨床診断によるところが大であり(正確には病理所見で診断)、提出された写真やスケッチを見ただけで評価することは難しいかと思います。もし、明らかにリンパ節が腫大し、臨床経過、症状、理学所見、(できれば「穿刺吸引細胞診」の結果も含め)などから(malignancyを除外したうえで)、たとえば咽頭炎・扁桃腺炎などによる炎症性リンパ節炎と診断した場合には、提出されるレポートの考察にこのことをふまえて診断したことをしっかり記載して頂ければ、特に問題はありません。
Q. 乳癌の肝転移がある場合、肝臓についての超音波所見や臨床像は必要でしょうか?
A. 所見の欄には乳房超音波検査の結果(乳癌など)だけを記載してください。「転移性肝腫瘍」の超音波レポートへの所見記載は必要ありませんが、考察の欄に「肝転移を認めた」などと記載することは問題ありません。ご検討ください。
Q. 乳癌の症例で乳頭・充実腺管癌・硬癌をそれぞれ2例ずつ提出してもよいですか?また腸恥滑液包炎は体表の症例として提出可能ですか?
A. 表在探触子で見える範囲のものは、体表領域の症例として提出は可能です。
Q. 甲状腺の基準値が、どれを参考にしたらよいかわかりません。日超医の診断基準や日本甲状腺学会にも基準値の記載はありませんでした。各施設での診断基準は使用を控えるようにということでしたので、JABTSも見たのですが、計測の仕方が異なり、診断として使用できませんでした。
A. ご指摘の通り、学会(日超医、JABTS)としての基準値の開示はありません。甲状腺USの際、慣例として色々計測していますが、これは今後フォローする際の指標(基準)としての意味合いが強いかと思います。甲状腺腫大を判断する目安は、例えば「短軸像(横断像)で、甲状腺表面(腹側)の右葉から峡部または左葉から峡部へのラインが平坦または凸型を呈していれば腫大」と判定したり、「峡部の厚みが3mmを超える場合に腫大」と判定することがありますのでご参考にしてください。したがって、計測値が極端に大きい場合はそれだけで、「腫大(+)」と判定していいかと思いますが、そうでない場合は計測値で判断するのではなく、上記のような特徴的な所見がある場合に「腫大(+)」と記載して構いません。
Q. 診断名歯肉癌、病理組織検査にて扁平上皮癌は症例としてA-4で提出できますでしょうか?
A. 主に表在用リニアプローブを使用して「診断名歯肉癌、病理組織検査にて扁平上皮癌」を検査し、診断したのであれば、本領域の症例として提出しても差しつかえありません。このような特殊な部位での症例報告の際、問題となるのは、実際の解剖学的位置関係とUS画像上との対応がしっかり説明できるか、という点です。また所見およびシェーマが正確に記載できるかもポイントになります。さらになぜ「癌(悪性)」と考え、診断したかも、わかりやすく考察欄に記述する必要がありますので、これらを考慮の上、ご検討ください。
Q. 正中頚嚢胞の症例でも、甲状腺の計測値や所見は必要でしょうか?
A. もし「頸部全体のルーチン検査」の際に発見されたのであれば甲状腺ほか(唾液腺、頸部リンパ節など)の所見が必要になりますが、「前頸部のしこり」精査の際に、問題となる部分だけを観察、精査したのであれば、他の部位(甲状腺など)の所見は必要ありません。ただし、通常前頸部のしこりを精査するときでも、周囲の臓器(甲状腺、リンパ節など)の観察はするかと思いますので、観察したすべての臓器の所見を記載した方が望ましいかと思います。
Q. 甲状腺癌のリンパ節転移の症例をリンパ節疾患として出す場合、甲状腺の所見は必要でしょうか?また、最終診断には、リンパ節転移と甲状腺癌の2つの疾患を書くことになるのでしょうか?それともリンパ節転移のみでよいのでしょうか?
A. 必要です。特に甲状腺近傍の頸動脈に沿ったリンパ節であれば、甲状腺癌からの転移が鑑別に挙がりますので、しっかり甲状腺の所見を書く必要があります。リンパ節所見(点状高エコー、嚢胞変性を伴う)から甲状腺癌からの転移を強く疑う場合はなおさらかと思います。最終診断ですが、所見や考察の内容にもよりますが、「転移性リンパ節(s/o 甲状腺原発)」または「甲状腺からのリンパ節転移」などがいいかと思います。なお転移性リンパ節(リンパ節の症例)をメインにレポートを書いた場合、この症例の甲状腺癌は、他の症例(甲状腺の症例)としては提出できません。ご了承ください。
Q. 健側についても記載するように書かれていますが、甲状腺の場合も右葉と左葉のように分けて考えるべきでしょうか?
A. 甲状腺は、主として「左葉、右葉、峡部」に分けて所見を述べるのが望ましいと考えます。例えば左葉にだけに結節があり、詳しくその所見を記載したとしても、右葉:異常なし(腫大なし、結節性病変なし)などのように異常所見がないことも記載すべきと考えます。
Q. 手術目的で他院から紹介されて来られる患者さんが多いのですが、前医で診断がついて来られ、こちらでは血液検査や超音波検査以外の検査をすることなく手術となった症例も含めて大丈夫でしょうか?
A. 含めて構いません。ただし、考察の箇所では、血液検査や他の画像検査の結果が必要になるかと思いますので、他院からの提供された情報(結果)で結構ですのでご記載ください。
Q. 甲状腺症例、副甲状腺症例では、甲状腺のサイズは必ず必要でしょうか?以前検査した症例では、腫大していないものでは測定していないものが多いのですが…
A. 基本的に必要です。甲状腺に腫大があるかの客観的評価の1つとして、サイズを記載しておくことは大事であり、習慣づけておいてください。この領域の検査に従事している方であれば、あまり時間はとらないかと思います。
Q. 手術するまでの間、来院する度に違う技師が検査していた場合、どの時点で受験者本人が検査していれば症例に含めてよいのでしょうか?
A. 受験者本人がしっかり検査を担当し、所見を記載したのであれば、どの時点で検査をしたかは問いません。自分が検査し、記載したことをもとに考察できるのであればまったく問題ありません。
Q. 乳房(乳腺)発生の顆粒細胞腫をレポートに記載したいのですが、乳腺病変(A-1)の分類で提出してもよろしいのでしょうか。(それともA-4の分類になるのでしょうか。)また上記分類で提出できた場合、その旨をレポートに記載した方がよろしいのでしょうか?
A. (極めて稀な疾患ですが)病理学的に乳腺由来の腫瘍と診断されているのであれば乳腺病変(A-1)で提出してください。その際、超音波診断(所見)と病理学的診断との関係をしっかり考察してください。考察の際には、鑑別として挙げるべき疾患や視診、理学所見、他のモダリティが参考になるのであればそれらを併せた総合的な評価、診断過程についても述べてください。
Q. 症例見本とガイドラインは拝見させて頂いたのですが、乳腺の症例で、腫瘤のサイズ径は1の位までで大丈夫でしょうか?また縦横比は小数第1位までで大丈夫でしょうか?
A. 有効数字に関するご質問ですが、乳腺腫瘤などを計測する際にcmで記載するのか、mmで記載するのかで有効数字は異なってきます。例えば2.5cm(2.50cmでなくて)または25mm(25.0mmではなくて)で十分です。2.56cm=25.6mmと2.55cm=25.5mmとで異なった大きさの腫瘤と断言することは困難です。すなわち何回測っても、両者間で差はでないと思われます。そういう意味から、cmの場合の小数点以下第2位と、mmの場合の小数点以下第1位はあまり意味を持たない数字ですので、記載しない方がいいかと思います。なお、縦横比は小数点第2位まで(例0.79)でいいかと思います。
Q. 乳がんによる腋窩リンパ節転移の症例をA-3(リンパ節疾患)に使ってもいいのでしょうか?(同一患者をA-1(乳がん)の症例には使わない場合)
A. 1人の患者で「乳癌+腋窩リンパ節転移」を認めた場合には、乳癌で1症例、リンパ節転移1症例として分けて(別症例として)提出ことはできません。この場合は、乳腺症例(乳癌+所属リンパ節転移)として提出ことをお薦めしますが、もしこの症例を乳腺症例として提出しないのであれば、リンパ節疾患として提出しても差支えありません。