公益社団法人日本超音波医学会|The Japan Society of Ultrasonics in Medicine

一般の皆さまへ

音響放射圧を用いたイメージング装置の生体への影響について

日本超音波医学会
理事長 岡井 崇
機器及び安全に関する委員会
委員長 秋山いわき

超音波の強度が大きくなると音響放射力が働いて,臓器や軟部組織のような柔らかいものを動かすことができます.この現象を用いた新しいイメージング装置が,薬事法の認証を受けて,平成20年度から市販されています1).超音波の生体への影響については,次の2つの現象が重要であると考えられています.ひとつは超音波の機械的作用による組織損傷であり,もうひとつは熱的作用による組織の温度上昇です.この2つの観点から,日本や米国では超音波診断装置の出力に関する基準が設けられており,それがMI<1.9とISPTA.3 <720mW/cm2です.本委員会では,今回市販された装置について,この基準を満していることを,製造元からのデータで確認しました.
 しかし,本装置のように超音波パルスの持続時間がかなり長い場合では,基準を満たしていても,骨などでは温度上昇が大きくなることが指摘されています.本装置では,超音波照射による温度上昇の持続時間があまり長くならないように,超音波出力を長時間休止して冷却時間をおくなどの配慮が加えられていますが,その使用に当たってはこの点十分注意してください.また,造影剤を投与した場合では,体内に残るマイクロバブルとその残存物の影響により作用が増強されることが報告されています.本技術で用いられる超音波出力でどの程度作用が増強されるかはまだ明らかではありませんので,造影剤との併用につきましては,マイクロバブルとその残存物の消滅までに要する時間に十分配慮して実施することを推奨します2).

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