東日本大震災に関わるご連絡
「日本超音波医学会による被災地への支援状況について」報告
3月15日付けの会員向け本会メール「東北地方太平洋沖地震の対応について」を受けて、東北地区の会員の方々より、本会にたいして携帯型超音波装置の搬送要望がありました。
超音波機器会社6社(持田シーメンスメディカルシステム株式会社、株式会社ソノサイト・ジャパン、株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン、GEヘルスケア・ジャパン株式会社、東芝メディカルシステムズ株式会社、アロカ株式会社)のご好意により機器を提供いただきましたが、被災地区への輸送手段がほとんどない状況でした。そこで、輸送経路が確保できた基幹施設に機器を搬送し、基幹施設から各地区内に派遣される医師団に携行していただいております。超音波機器会社からは追加での機器提供の申し出をいただいておりますので、今後も要望に応じて搬送を行ないたいと考えております。
基幹施設以外からのご要望もありましたが、輸送方法がないため個別要望には対応が困難な状況です。ご要望がある場合には、本学会事務局(office@jsum.or.jp)までご連絡をいただきましたら、こちらで基幹施設と相談し対応を考えたいと思います。
ひとまず、これまでご協力を申し出て頂きましたメーカー各社、また基幹施設で機器の収受・管理をお引き受け頂いている会員各位に、深甚なる敬意を表します。今後も本学会として可能な支援を行なってまいります。被災地の会員の方々は要望事項を本学会事務局までお知らせ下さい。そして被災地以外の会員の皆様の継続的なご協力をお願いいたします。
3月18日(金)AM、JALの羽田-花巻便で「救援物資輸送事業」として輸送。岩手医科大学職員の方が空港でピックアップし岩手医科大学で保管・管理。
[東北大学への搬送]
3月19日(土)AM、東京大学から石巻赤十字病院への応援医師派遣隊の車に機器を便乗。石巻赤十字病院に東北大学から派遣されている医師団が機器を東北大学に持ち帰り、保管・管理。
[福島県立医科大学への搬送]
搬送方法を検討中。
*今回の搬送に関し、搬送を打診したものの、本会の要望が受け入れられなかった紆余曲折の経緯を略述します。これらの機関・部署においては、大変な混乱の中で、本会の意図が十分に伝わらず、成果が得られなかったものも中にあると思われ、これらを決して責めるものでないことをお断りします。 [省庁、政府機関、行政機関、学術団体等々]
元々そういった輸送ルートや集積基地を持たないものが多かったり、都道府県等を通じての要望以外は一切受け付けない、などがあったりした。
[公共交通機関]
そもそも機器運搬を受け付けていない、あるいは公的機関からの要望/送付 でなければ引き受けないとしている。 ことに航空機の場合、燃料が限られるため重量制限があり、搭載されたものの一度は飛行機から降ろされてしまった。離陸するまで運んでもらえるか否かわからない。
[医師派遣隊への携行について]
個人的依頼によらざるを得ない面があった。具体的な出発日、員数などの情報を十分承知することと、委託する機材の寸法、重量などに制限のあることがあり、その詳細を伝えておく必要があった。
[以上の教訓として]
現地から学会に物資輸送要望をあげて頂くことと並行して、一方輸送等を依頼する公的機関(官邸災害対策本部にいたるまで)に現地からの要望書を提出しておいていただく必要があること、および学会が公的機関に準ずるもの(一般的な各種団体の類ではないこと)だということの明文化証拠が必要であることが明らかとなった。
3月20日付けで会員向けにご報告しましたように、本学会では被災地区の会員の方々からの携帯型超音波装置の搬送要望に応えるため、超音波機器会社7社(持田シーメンスメディカルシステム株式会社、株式会社ソノサイト・ジャパン、株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン、GEヘルスケア・ジャパン株式会社、東芝メディカルシステムズ株式会社、アロカ株式会社(現:日立アロカメディカル株式会社)、富士フイルム株式会社)のご好意により機器を提供いただき、岩手県・宮城県・福島県に計34台の搬送を行いました。これらは岩手医科大学、東北大学、福島県立医科大学のチームを中心として現地におけるニーズに応じて使用していただいております。
急性期はタコツボ型心筋症による心不全診断などで活用されておりましたが、震災から1ヵ月が経過し対象疾患や現地で求められる医療が慢性期モードにシフトしており、超音波診断装置の用途も変わりつつあります。4月に入ってからは、避難所で生活を送っておられる方々を対象として肺血栓塞栓症の予防に向けた啓発活動と合わせた深部静脈血栓のスクリーニング検査に携帯型装置が用いられております。
今後は、震災の被害を受けた各地区の医療機関の本格的復旧作業が開始されることになりますが、震災と津波の影響で超音波装置を含めた画像診断機器が使用不可能となっている医療機関が少なくない上、当面は仮設診療所が基幹病院の機能をカバーせざるを得ない地区もあるとうかがっております。これらの機関において医療活動を行う際には携帯型超音波診断が画像診断を担うことになると予想されますので、引き続き、本学会より提供させていただいている携帯型超音波装置が被災地区の医療活動に貢献しうるのではないかと考えております。
あらためて、これまでご協力頂いたメーカー各社、搬送された超音波装置の差配をお引き受け頂いている会員各位に深謝いたします。今後も、携帯型超音波装置のご要望がある場合には、本学会事務局(office@jsum.or.jp)までご連絡をいただきましたら、こちらで基幹施設と相談し対応を考えます。
震災発生から間もなく2ヵ月が経過いたしますが復興に向かう入り口についたばかりであり、被災地の会員の方々のニーズに応じて、学会として行いうる支援活動を今後も実行してまいりますので、要望事項を本学会事務局までお知らせ下さい。被災地以外の会員の皆様には継続的なご協力をお願いいたします。
岩手県
- 岩手医科大学、岩手県災害医療本部内「いわて災害医療支援ネットワーク」の共同管理のもと、岩手県内に派遣される医師団が携帯
- 自治医科大学の医療チームによる岩手県内における医療支援に携帯
- 弘前大学の医療チームによる岩手県内における医療支援に携帯
- 東北大学から宮城県内(石巻赤十字病院など)に派遣される医師団が携帯
- 国家公務員共済組合連合会病院の医療班による南三陸町への医療支援に携帯
- 福島県立医科大学から福島県内に派遣される医師団が携帯
- 福島県外の超音波専門医による福島県への保健所支援活動に携帯