Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.8(2022年)→1.9(2023年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2024 - Vol.51

Vol.51 No.02

Ultrasound Image of the Month(今月の超音波像)

(0113 - 0114)

経腹超音波断層法にて胎児下腿絞扼輪を観察し,羊膜索症候群と診断した1例

Sonographic findings of amniotic band syndrome

福山 愛華, 落合 大輔, 田中 邦生, 春日 義史, 池ノ上 学, 田中 守

Aika FUKUYAMA, Daisuke OCHIAI, Kunio TANAKA, Yoshifumi KASUGA, Satoru IKENOUE, Mamoru TANAKA

慶應義塾大学医学部産婦人科

Department of Obstetrics and Gynecology, Keio University Hospital School of Medicine

キーワード : amniotic band syndrome, ultrasound, band constriction

【症例】 28歳,1妊0産.自然妊娠成立後,胎児下腿浮腫を認め妊娠20週に当院紹介受診した.初診時,経腹超音波断層法で左足背に著明な浮腫を認め,妊娠28週時に左足背の浮腫は増悪し,左下腿の狭窄部位に隣接して膜様構造物を認めたため(Fig.1a,b),胎児羊膜索症候群と診断した.骨盤位の適応で妊娠37週0日に選択的帝王切開を行った.児の左下腿に羊膜索が絞扼しており,その遠位に著明な浮腫を認めた(Fig.2).また,臍帯付着部に羊膜剥離を認め,胎内診断と一致した. 【解説】 羊膜索症候群とは羊膜が破綻して生じた羊膜索が胎児の構造物を絞扼し様々な奇形をきたすものであり,1,200‐15,000出生に1例とされる1).妊娠初期には顔裂,無脳症,腹壁異常などをきたし,妊娠中期には四肢や指の切断や浮腫,関節拘縮,合指症などをきたす2).奇形が非対称的であることが特徴であり,四肢の奇形が最も多い1).胎内所見としては本症例のように四肢の絞扼輪やその遠位での浮腫がみられる.羊膜索は絞扼部に付着した細い像として観察されることがある1).胎児の四肢の絞扼輪や浮腫を認めた場合は羊膜索症候群を鑑別にあげる必要があると考えられた.