英文誌(2004-)
Original Article(原著)
(0011 - 0018)
超音波断層法による脳腫瘍の形状追跡
Echographic follow-up of brain tumors.
岡 益尚, 阪本 啓, 西居 俊弥, 森脇 宏
Masuhisa OKA, Kei SAKAMOTO, Toshiya NISHII, Hiroshi MORIWAKI
和歌山医科大学脳神経外科学教室
Department of Neurosurgery, Wakayama Medical College Hospital
キーワード :
超音波断層診断法は機器の開発,画像処理技術の進歩によってその応用範囲を急速にひろげたが,脳については頭蓋骨に妨げられて,その応用は頓坐したままである。本稿は開頭術後の骨欠損部を用いて脳腫瘍の治療による形状変化追跡を現用機器によって行なった,脳超音波断層法の研究総括である。
扇形走査を直径2cmの開頭孔上の頭皮で行なうことによって脳の前額断面,水平断面いずれの面積の約2/3は観察可能であり,探触子近位部より正中線部の構造まで判別が可能なことを認めた。また超音波断層法で脳腫癌の放射線照射治療経過中に現われる嚢胞形成は確診でき,さらに形成された嚢胞は直径1cm以上になると判別ができる。脳腫瘍の開頭術後における退縮,増大の状況は本稿の方法で認識把握できるものと考える。