英文誌(2004-)
Original Article(原著)
(0027 - 0033)
強力超音波照射による悪性腫瘍に対する治療的侵襲の研究 —可移植性神経膠腫への強力超音波照射効果の実験—
Study on the therapeutic irradiation of highly intense ultrasound.~Experimental observation on the effect of ultrasonic irradiation upon transplantable murine glioma.
岡 益尚1, 三島 隆生2, 岸 政次1, 板倉 徹1, 堀 啓二2
Masuhisa OKA1, Takao MISHIMA2, Masaji KISHI1, Toru ITAKURA1, Keiji HORI2
1和歌山医科大学脳神経外科学教室, 2和歌山医科大学放射線医学教室
1Department of Neurosurgery, Wakayama Medical College Hospital, 2Department of Radiology,Wakayama Medical College Hospital
キーワード :
強力超音波照射のもつ選択的生体組織傷害作用が根治不能のがんや脳腫瘍の治療に役立つや否や,すでに岡は強力集束超音波照射による定位的脳手術や腫瘍破壊をもって治療した臨床例をもつが,さらに応用の発展をはかるために悪性腫瘍破壊・壊死の機構を実験的に研究をしている。可移植性神経膠腫に強力超音波を照射すると,その腫瘍塊は部分的に直ちに破壊され,続いて腫瘍塊そのものの壊死・脱落にいたる例が高率にあり,延命する。それに新たに移植された同種の無処置の腫瘍片は再び高率に生着しないo移植腫瘍片への強力超音波照射は腫瘍抗原に変化を与え,宿主マウスのその腫瘍に対する免疫を増強させるものと推測される。放射線(60Co)照射に伴う全身的副作用もないから,悪性腫瘍治療の研究推進の資料となるだろう。