英文誌(2004-)
Original Article(原著)
(0098 - 0105)
拍動性脳内エコーの臨床応用—脳硬塞,脳動脈閉塞性疾患と脳死とについて—
Pulsatile echo-encephalography on cases of cerebrovascular occlusive disorder and brain death
岡 益尚, 西居 俊弥, 森脇 宏, 丸笹 雄一郎
Masuhisa OKA, Toshiya NISHII, Hiroshi MORIWAKI, Yuichiro MARUSASA
和歌山医科大学脳神経外科
Department of Neurosurgery, Wakayama Medical College Hospital
キーワード :
脳内からの主な3つの拍動性エコーについて拍動曲線を心電図と並列記録し,上昇時間,遅延時間を計測検討した結果,内頸動脈サイホン部エコーとシルビアン・コンプレックス・エコーとの遅延時間の計測・比較が脳硬塞をおこす脳動脈の閉塞または狭窄,および脳動脈瘤術後の血管攣縮の部位診断に役立ち,その現象は脈波伝播と相似たところがあった。また継時的計測によって症状改善・増悪を知ることができた。さらに正中線エコーの上昇時間は脳死の判定に役立っことが明らかになった。脳死にむかう過程で上昇時間は変化し,瞳孔散大の時期から脳波が平坦になり,脳死症状がすべて現われてしまう時期に移る時,それまで短くなりつづけた上昇時間は逆に急速に長くなり,心停止にいたることが認められた。このような変化は頭蓋内圧上昇に伴う脳動脈末梢血管抵抗の増大に関連しており,拍動性エコー曲線観測の重要性を認めさせるものである。