Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.8(2022年)→1.9(2023年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

1978 - Vol.5

Vol.5 No.01

Original Article(原著)

(0023 - 0030)

心断層造影法 (Contrast Tomography) とその臨床的意義

Contrast cardiotomography and its clinical significance

田中 元直1, 目黒 泰一郎1, 今野 淳1, 仁田 新一2, 田林 晄一2, 堀内 藤吾2, 柏木 誠3, 渡辺 恵3, 引地 久春3, 仁田 桂子3, 武田 久尚3, 海老名 敏明3, 萩原 芳夫4, 三木 基弘4, 飯沼 一浩5, 城所 剛5

Motonao TANAKA1, Taiichiro MEGURO1, Kiyoshi KONNO1, Shinichi NITTA2, Koichi TABAYASHI2, Togo HORIUCHI2, Makoto KASHIWAGI3, Satoru WATANABE3, Hisaharu HIKICHI3, Keiko NlTTA3, Hisanao TAKEDA3, Toshiaki EBINA3, Yoshio HAGIWARA4, Motohiro MIKI4, Kazuhiro IINUMA5, Tsuyoshi KIDOKORO5

1東北大学抗酸菌病研究所, 2東北大学医学部胸部外科, 3仙台厚生病院, 4アロカ(株), 5東京芝浦電気(株)総合研究所

1The Research Institute for TBC, Leprosy and Cancer Tohoku Univ., 2Dept. of Thoracic Surgery, Tohoku Univ. School of Med., 3Internal Med. Sendai Kosei Hosp., 4ALOKA Co. Ltd., 5TOSHIBA Research and Development Center

キーワード :

M系列変調超音波ドプラ法によって得られた心臓内血流に関する所見の妥当性を評価することと, 高速走査による心断層法の特異性を生かした方法を考案し, 心断層法の臨床的有用性を高め, 適用範囲を拡大することとを目的として, 血液と音響インピーダンスを異にし, かつ生体に全く無害な物質を心臓内に注入して人為的にエコーを生成する方法を心断層法-導入した。この方法によって心断層図上に血流に関する情報を含ませることを心断層造影法 (Contrast Cardiotomography) として基礎的・臨床的に検討し, その意義を追求した。本方法による血流内エコー生成機序について血液, 生理的食塩水, Indocyanine green 液, 5%および20%ブドウ糖液, グリセリン, および Intralipid 溶液などを用いて in-vitro および in-vivo の実験を行なった。
その結果, 本法で生ずるエコーの生成には血液と注入液との音響インピーダンスの差が大きな要因であり, 注入液(造エコー剤)として用いた生食水塊が流血中で小水滴へと砕けていく過程で生ずるエコーが主であると考えられた。僧帽弁閉鎖不全症を対象に生食水を用いる方法で臨床的に検討した結果, 本法により逆流部位, 逆流口の大きさと範囲, 程度, 流れの方向と状況などが容易に観察でき, 臨床的に有用性の高い方法であると考えられた。また本法は高速走査法によって始めて可能になった方法であり, 心断層法の臨床的適用範囲を拡大せしめるために大きな意義を有するものであると判断された。