英文誌(2004-)
State of the Art(特集)
(0167 - 0169)
膵炎の超音波診断
Ultrasonographic diagnosis of the pancreatitis.
北村 次男
Tsugio KITAMURA
大阪府立成人病センター
The Center for Adult Diseases, Osaka
キーワード :
最近利用できるようになった装置をふくめて,現用の超音波診断装置により得られる種々の原因による,いろいろな時期の膵炎の超音波断層像を紹介した。膵炎急性期では膵の腫大とこれに伴う周囲消化管の内容の停滞が簡単に描出される。胆石のない胆囊拡張像も膵炎時によく見られる像である。膵炎の経過中の囊胞形成はやはり本法でよく検出できる。大きい囊胞では,この付近の膵以外の囊胞との鑑別も必要である。大小にかかわらず膵癌によるものとの鑑別は殊に肝要である。膵石の場合,大結石は比較的よく描出できるが,小結石は困難である。萎縮した慢性膵炎も本法での描出は困難である。腫瘤形成型の慢性膵炎でも癌との鑑別が肝要であるが,ただ1回の 検査で鑑別不能の場合は囊胞の場合も含め経過を追っての超音波断層法の頻回の実施が有用な鑑別の手段となる。